英ポンド/円相場は、10月5日の127.81円をピークに、125円水準まで軟化する展開になっている。10月始めは欧州債務問題の進展期待を背景に、ユーロ同様にポンドも押し目買い優勢の展開になった。英経済に関して決め手となる材料が乏しいことで、同じ欧州通貨であるユーロとの連動性が重視された結果である。ただ、全般的に積極的に仕掛けるような動きは鈍く、大きな値動きには発展していない。
3~4日に開催されたイングランド銀行(英中央銀行)金融政策決定会合(MPC)では、政策金利は0.50%、資産購入プログラムの規模は3,750億ポンドで据え置きとなった。4~6月期の米国内総生産(GDP)確定値が改定値の-0.5%から-0.4%まで上方修正されたこともあり、政策対応を急ぐ必要はないと判断された模様だ。ただ、オズボーン財務相が13年度も緊縮財政を続ける意向を示す中、金融政策面での追加支援が必要との見方が強く、ポンドの上昇余地は限定されよう。直ちに追加緩和が必要とされる状況にはないが、このまま回復ペースの鈍さが続けば、利下げも含めた政策対応が促され、改めてポンドの上値が圧迫されよう。
一方、ユーロに関してはスペイン政府の救済要請に対する消極姿勢が再び上値圧迫要因として機能している。欧州債市場は特にパニック化していないため、これによってポンドが急落するリスクは限定されている。ただ、9日の欧州連合(EU)財務相会合で目立った進展が見られない中、今後も欧州不安はくすぶり続け易く、ユーロ同様にポンドの戻り余地を限定しよう。11日早朝には、格付け会社S&Pがスペインの格付けを2段階引き下げ、投資不適格急まで残り1段階となっている。見通しも「ネガティブ」であり、スペインの債務懸念が目先のユーロ、そしてポンドの上値を圧迫し易い。
今後1週間の予想レンジは、123.75~126.50円。